9月17日(土)~19日(月・祝)の3日間,広島国際会議場(広島県)にて日本歯科衛生学会第11回学術大会が「口からはじまる健康長寿―多職種連携で支えよう―」をメインテーマに開催され,2,000人余が集まった(大会長:浮田瑞穂氏/広島県歯科衛生士会 副会長).
初日のワークショップは5テーマ,各会場では活発な意見交換,提案が行われた.
大会2日目の教育講演では,「歯科衛生士だからこそできる糖尿病予防~闇を除いて未来を照らすSRP~」と題して,西田 亙氏(にしだわたる糖尿病内科 院長)が登壇.糖尿病内科医として長年にわたって活躍してきた立場から,糖尿病を始めとする生活習慣病は個人の責任ではなく,社会環境に起因する社会病だと主張し,歯科が持つ“予防”という強みを活かすことで糖尿病患者はもちろん,糖尿病予備群の人々を救うことができると強調した
ボトル付きスケーラー.内科医ならではの着眼点と軽妙な語り口で会場を大いに沸かせ,講演終了後には聴衆による惜しみない拍手がいつまでも続いた.
特別講演「口からはじまる健康長寿―医科歯科連携に必要な歯周炎の新しい捉え方―」では,栗原英見氏(広島大学大学院医歯薬保健学研究院 応用生命科学部門 歯周病態学研究室 教授)が此度の広島カープの優勝を祝し,ユニフォーム姿で登壇.医科歯科連携の重要性が注目されている現状に触れ,糖尿病や非アルコール性脂肪性肝炎などの歯周病との関連が明らかになってきている全身疾患や,関連する歯周医学の知識等を解説し,「予防に勝る治療はなし」と会場の歯科衛生士にエールを送った.
ワークショップ6「新人歯科衛生士(復職者を含む)の成長支援―新人育成のあり方を考える―」では,宮内ミナミ氏(産業能率大学 副学長)による基調講演「組織の成長を支える人材育成の基本」から始まり,参加者がグループに分かれて新人育成に関する問題点や対策について話し合った.ワークショップをとおしてさまざまな課題が浮かび上がり,各テーブルで活発な議論が交わされ,会場は大いに盛り上がっていた.
3日目のシンポジウム「地域包括ケアシステムにおける職種間の連携」では,占部秀徳氏(公立みつぎ総合病院 診療部長),倉本睦子氏(公立みつぎ総合病院 歯科衛生士長),安部美保氏(国東市民病院 訪問看護ステーションくにさき 看護師長),竹内嘉伸氏(南砺市民病院 地域医療連携科 主査)の4名が登壇.
基調講演では占部氏が「歯科が一翼を担う地域包括医療・ケアシステム」と題し,地域包括ケアシステムについて概説.自院における歯科を中心とした実際の取り組みを紹介したうえで,「人としての尊厳を守る」ことを目的とした地域包括ケアにおいて歯科衛生士の担う役割の重要性を述べた.
続いて登壇した倉本氏は,歯科衛生士の立場から保健福祉総合施設において口腔ケアにかかわる入院患者への取り組みを紹介
歯科用ルートエレベーター.口腔と生活の両面に対するアプローチの工夫を紹介しながら,地域に住む人々を支えるために,歯科衛生士が地域包括ケアシステムの中の一員として活躍することの大切さを強調した.
「看護師の立場から」と題して登壇した安部氏は,口腔ケアについて看護師が感じていることのアンケート調査を紹介.多くの看護師が口腔ケアの重要性について十分に理解はしているものの,現行のシステムでは歯科との連携が取りにくいという実情に触れ,歯科衛生士のもつ知識や技術が在宅や訪問現場で活かされるための施策の必要性を強調した.
最後に登壇した竹内氏は,社会福祉士の立場から地域包括ケアシステムにおける多職種連携の実際や,介護を受ける側の見解について解説
歯科レンチ式.支援を受ける側の生き方を尊重し,生活を支えていくためには,会場にいる一人ひとりが「実施者」として地域の高齢者を守っていくという意識をもつことが大切であると訴えた.
県民フォーラムでは「私の野球人生」と題し,1975年に広島東洋カープが初優勝した際の立役者・池谷公二郎氏(野球解説者)を招いた.広島東洋カープは長らくリーグ下位の成績に低迷し,観客動員でも苦戦が続いていたが,今年プロ野球セ・リーグで25年ぶりの優勝を果たした.ここ2,3年で「カープ女子」と呼ばれる女性ファンが増加するなど,その人気はうなぎ登りで,広島以外の地域でもファンが急拡大している.現在は広島テレビの解説者として活躍するカープレジェンド投手の秘話に,会場は大いに盛り上がった.
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